キャンピングカーのサブバッテリーを、DIYで鉛ディープサイクルからリン酸鉄リチウム(LiFePO4)に替えたのでその感想を書きます。
簡単にまとめると、
とにかく快適!家と同じ感覚で電気が使える!
電子レンジ・ケトル・エアコンだって数時間も動かせる!
長期の旅や真夏にずーっとエアコンつけたりしない限り、電気が不足することはなさそう。
さらに、夏のエアコンに向けてソーラーを625Wにアップさせる(今は350W)予定です。
リチウム化の記事一覧
目次
キャンピングカーの電気設備
電気機器・配線はサイドシート下にまとめられています。
- リン酸鉄リチウムの生セル(12.8V,620Ah)+スマートBMS
- リン酸鉄用AC100V充電器(40A)
- COTEK正弦波インバーター300W(冷蔵庫用)
- BAL正弦波インバーター1800W
- RENOGYフレキシブルソーラーパネル(175W×2)
- RENOGYのDCC50走行充電器(MPPTソーラー充電付き)
リチウム化で追加・変更したのは「バッテリー・BMS・AC100V充電器」の3つです。
RENOGYの走行充電器は鉛時代に載せたもの。リチウムにも対応しています。
1台で走行充電とソーラーを制御するので、同時充電でも過充電の心配はありません。
RENOGYの走行充電器については、こちらに詳しく書いてあります。
リン酸鉄リチウムバッテリー(生セル)
バッテリーのスペック
- 容量:620Ah(8kWh)
- 定格電圧:12.8V
- 最大放電電流:620A(620A)
- 充電温度:-5℃〜60℃
- 放電温度:-30℃〜60℃
DIYでリチウム化(620Ah、8kWh)するのにかかった総額は15万円。
(半分の4kWhなら10万以下でできます)
金額は大容量のポータブル電源(2kWh)に近いですが、容量は4倍以上あります。
ビルダーでリチウム化したら、200Ahで30万円(工賃別)とかします。
自分で生セルに替えれば、もっと安くもっと大容量のリチウムを載せることができます。
載せ替えもしっかり調べれば難しくなく、素人のボクでもDIYで交換できました。
電源なしのオフグリット生活も実現できると思います。
生セルはこんなやつです。
これは1つのセルが3.2V,310Ahで、4つ直列に繋いで12.8V,310Ahの1セットとして使います。
ボクはさらに2セット(8セル)を並列にして、12.8V,620Ahにしています。
ボクが買ったのとは違いますが、amazonからも購入できます。
リチウムバッテリーについてはこちらの記事に詳しく書いています。
生セルより簡単な組みバッテリーもある
生セルが難しそうだな・・と感じる方には、組みバッテリーもあります。
amazonで手軽に買えるし、メーカー品というのが信頼できます。
ターミナルも付いているので、配線はそのまま使えるし、BMS内臓なので配線&設定も不要。
あとは充電器をリチウム対応に交換すればOKなので、だいぶハードルが低いですね。
RENOGY製品は高性能・低価格だし、信頼できるメーカー。
ソーラーと走行充電器の設置にあたって何度も質問しましたが、毎回丁寧に対応してくれました。もちろん、製品自体も満足できる品質です。
リチウムバッテリーの容量は50,100,200Ahの3タイプ。200Ah(2560Wh)ならかなり大容量です。
放電も1C(100Ahなら100A=1280W)までOKだし、並列接続も可能。スマホで監視できるし、BMSの保護機能もあるので安心して使えます。
家の家電が全て使える!
リチウム化すると、家にある家電は基本なんでも使えます。
リチウムは消費電力の大きい家電でも安定して使えるのが売り。
大電流を放電しても電圧低下しにくいし、取り出せる電気も実容量に近いです。(カタログ容量の80%は安心して放電できます)
一方、鉛は大電流の放電が苦手。
消費電流が大きい家電を使うと、使える電気が容量より圧倒的に少ないし、バッテリーも劣化します
キャンピングカーで使ってる家電たち
- 照明、ベンチレーター
- インバーター2台(COTEK300W+BAL1800W)
- 家庭用冷蔵庫、電子レンジ、ドライヤー(車専用)
- ケトル、炊飯器、ホットプレート(自宅から持ち出し)
いまはエアコンなしですが、夏に向けて12V直流クーラーをDIYで設置予定です。
家にあるケトルと炊飯器も便利なので、旅に持って行くようになりました。
もともとは鉛バッテリー2台だったので、電気を食う家電は使っていませんでした。
(お湯を沸かすにも、ご飯を炊くにも全てガスコンロ)
車内で火が使えるだけでも幸せなんですが、ケトルや炊飯器を使ったらもう便利すぎて手放せません。
電子レンジ
- 余ったご飯を温めできる
- レンチンで作れるレシピが豊富にある
リチウム化したときに載せました。現代の生活には欠かせませんね。
いつでもご飯を温かく食べられるのは本当に幸せ。
レンジがなかった頃は、冷めたご飯は焼きおにぎりにして温めていました。
これはこれで美味しいんですが、準備・片付けに時間がかかって面倒でした。
調理が限られるキャンピングカーにとって、電子レンジはかなり便利。
最小限の水でパスタを茹でれるし、冷凍食品が食べられるのも助かります。
レンジだけで作れる料理もバラエティーが豊富。唐揚げだってレンチンで作れます。
洗い物は少なくて済むし、ガスも消費しないので、車旅の強い味方です。
炊飯器
- 車にいなくてもご飯を炊ける
- 保温機能でいつでもホカホカ
ガス炊きのように火を見張っている必要がありません。
帰ってきたらすぐに炊きたてご飯にありつけます。
保温機能でいつでもご飯はホカホカです。
ガスで炊くご飯は美味いんですが、保温できないのが不便でした。
炊けた後の温めもできないので、おかずができるタイミングに合わせないと冷え冷えに・・・
ケトル
- お湯を沸かすためにコンロを占領されない
- 車内の温度・湿度が上がらない
- 早く安全にお湯を作れる
お湯を沸かすためだけに、カセットコンロを出したり、ガスボンベを開ける必要がないのが地味に便利。
料理のときに数少ないコンロを取られないのも助かります。
コンロで沸かすと車内が暑くなるし、湿度もいっきに上がります。夏には使いたくないですね。
使った後はコンロと鍋が熱々に・・・冷めるまで収納できないので出発できないのも面倒です。
【オススメのケトル】
安全機能を重視してこのケトルを購入。狭い車内でも安心して使える機能が豊富です。
狭い車内で使うので、蒸気が出ない&倒してもこぼれないのが安全!
余ったお湯をケトルに入れたまま移動しても、漏れる心配もありません。(横に倒しても全く漏れないです)
ドリップ機能付きなので、コーヒーを淹れるのにも重宝します。
エアコン
この記事の後にDC12V直流エアコン(パーキングクーラー)をDIYで設置しました。
取り付けは思っていたより簡単で、素人でもできました。
室内機がかなりコンパクトなのに、1800Wもの強力な冷房能力があります。(家のエアコン6畳用で2200W)
真夏の炎天下でも、キャブコンのダイネットをしっかり冷やせます。本物のエアコンが欲しい方には超オススメです!
真夏でも車内が涼しいので本当に快適。子どもと妻は大喜びです。
ただし、日中の消費電力は700W~800Wもあります。(スイッチONしてすぐは900Wほど)
ボクのサブバッテリー容量なら、ソーラーなしでも10時間以上は動かすことができます。
これだけの消費電力であっても、長時間安定して電気を使えるのはリチウムだからこそ。
鉛バッテリーでは電圧降下しやすいので、容量の1/3程度しか取り出せません。
とにかく電気に困らない
連泊しても電気に困ることは全くなくなりました。ちまちま残量を気にせず電気を使っています。
レンジやケトルは1300Wくらい消費しますが、バッテリー容量が大きいので5時間ほど動かせます。
といっても、1回に使う時間はせいぜい10~20分なので、消費量はしれています。
しかも、走行充電とソーラーで電気が補充されるので、バッテリーがなかなか減りません。
これはバッテリー状態を管理できるアプリのスクショです。
消費電力は653Wの表示ですが、実際にはその2倍の約1300Wが消費されています。
(2バンク並列にしているので、各バンクが約650W消費している)
単純計算だと、300Ah÷50Ah=6時間使えることになります。
※常に1300Wも消費しているわけではないようでした。BMSで監視して知りました。なので、実際にはもっと長時間使えるはずです。
旅先でも電源が必要ない
RVパークやオートキャンプ場で電源を借りる必要がなくなりました。
電源使用料(500~1000円)の節約にもなりますね。
旅先で電源が必要なければ、泊まる場所の自由度もグッと高くなります!
電源を借りるとしたら、真夏にエアコンを長時間使って充電が間に合わないときだけですね。
電気を大量に消費するのはエアコンくらい
長時間・大量に電気を使うのは、やっぱりエアコン。
電子レンジは消費電力こそ大きいですが、時間が短いので容量はそんなに減りません。
冷蔵庫は24時間ONですが、消費電力が少ないのでやっぱりそんなに使わない。
例えば、電子レンジを30分使った場合(なかなか30分も使わないでしょうが)
消費電力1300Wで見積もっても、650Whしか消費されません。この程度なら充電も簡単にできます。
電子レンジならポータブル電源の容量でも十分、実用的に使えますね!
一方、エアコンを12時間使った場合
消費電力300Wで見積もっても、3600Whも消費されます!
外気温にもよるので一概には言えませんが、夏の日中に長時間運転するなら大容量のバッテリーが欲しいところ。
夜寝るときだけエアコンを使うなら、もっと消費電力は抑えられると思います。
それでも、連泊するならかなりの容量が必要ですね。
長旅に大切なのは充電力
バッテリー容量も大切ですが、長旅ではそれと同じくらい充電力が重要。
容量が大きくても、使う電気量に対して充電が追いつかなければ、残量はどんどん減ります。
逆に、使う分をしっかり発電できれば、容量はそこまで大きくなくてもOKです。
ただし、ソーラー充電は日によって発電量がまちまち。
天気が悪い日も考慮して、満充電で3,4日分の電気は貯められるようにしたいところです。
走行充電なら天気に左右されず安定して充電できますが、移動時間が少ない旅には向きません。
逆に、長旅が年に数回なら、3,4日に1回電源サイトを借りて充電するのもアリ。
高い資金を払ってソーラーや走行充電を強化するよりコスパがいいかも。
外部電源なら安定して大電流(40A以上)での充電ができるので確実です。
旅の時期やユーザーによっても使用量は全く違うので、使い方に合わせて考えてみて下さい!
まとめ
リチウム化したことで家と同じ感覚で電気を使えています!
電源に頼らず過ごせるので、場所と時間に縛られない自由な旅ができます。
エアコンの長時間稼働だってOK。ただし、使う時間と日数を考えて充電力も強化する必要があります。
電子レンジ・ケトル・炊飯器が使えると車内での調理も簡単。洗い物も減らせます。
家電を使いこなせば快適になるし、旅の可能性が広がりそうです!
鉛からリチウム化してみて、正直、メリットばかりでした。
唯一のデメリットは導入コストですが、最近はかなり買いやすい価格まで落ちています。
生セルを自分で設置すれば、8kWhを15万円で実現できます。
簡単にリチウム化できる組みバッテリーもあります。
リチウム化すれば快適な旅が待っていますよー!