アリエクで買ったLiFePO4バッテリーの仮組みが完了したので、今回は充放電テストをします。
カタログ上では310Ahですが、実際に何Ahまで使うことができるのか?楽しい実験です!
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目次
BMS保護機能の確認
充放電テストの前に、BMSの基本的な保護機能を確認しておきます。
過充電時の充電停止と、過放電時の放電停止が正常に働くか、以下の4項目をチェック。
- Cell over voltage(セルの上限電圧)
- Cell under voltage(セルの下限電圧)
- Batt over voltage(バッテリーの上限電圧)
- Batt under voltage(バッテリーの下限電圧)
これはBMSの保護機能の設定画面です。
過充電・過放電だけでなく、充電電流・放電電流、充電温度・放電温度なども設定して保護できます。
また、Delay(判定に要する時間)も設定できるので、瞬間的に上限・下限を超えて遮断されることも防げます。優秀ですね。
今回はテストなので、過放電・過充電の4機能をすぐにチェックできるよう、BMSの保護電圧を変更しました。
こちらは充電時の様子。バッテリー上限電圧を超えたのでBMSが充電を遮断しています。
「Charge OFF」とアラームに「Battery overvoltage protection」が表示されています。
Trigger Valueを超えたときに、BMSが充電or放電を遮断し、Releaseまで戻ったときに遮断が解除されることを確認できました。
このBMSでは上限電圧を超えた時は充電のみ遮断、下限を超えたときは放電のみ遮断されます。
バッテリーの充放電テスト
いよいよバッテリーの充放電テストです。2バンクあるので時間がかかりました。
これは最初の充電後です。(名称がデフォルトのままですがバンク1です)
セルの電圧差はわずか0.003V(3mV)で状態は良好ですね。安心しました。
これはドライヤーを風量MAXで動かしたとき。
急激に残量が減っているのは、別のタイミングで撮った写真だからです。もっと言うと別のバンクの写真でした。(こちらはバンク2)
大電流が流れるとセルの電圧差が大きくなりますが、ドライヤーは普通に動いています。
テスト時はインバーターの配線が20SQ×1本と細かったので、配線がほんのり暖かくなっていました。
キャンカーに載せるときは、22SQ×2本にするので大丈夫でしょう。
バッテリーの容量確認
カタログ値では310Ahと表記されてますが、「実際に何Ah使えるのか」は気になるところ。
このバッテリーのスペックはこちらの通り。一般的なLiFePO4と同じです。
- 容量:310Ah
- 定格電圧:3.2V
- セル上限電圧:3.65V
- セル下限電圧:2.5V
カタログスペックの上限・下限まで充放電するのはセルにダメージを与えそうで心配。(特に下限)
なので今回のテストでは90~95%程度の充放電にとどめて、100%本気で絞り出したら310Ahありそうか?という予測的なテストをしていきます。
BMSの設定
- セルの上限電圧3.55V(Delay 15秒)
- バッテリー上限電圧14.2V(Delay 30秒)
上限を超えてすぐに充電停止しないよう、判定を長めにしています。
充電時にセルの電圧バラツキが少ないことは確認済なので、問題ないと思います。
- セルの下限電圧2.8V(Delay 5秒)
- バッテリー下限電圧11.20V(Delay 5秒)
カタログ上は2.5Vまで放電できますが、これは危険なので2.8Vにしました。これでもちょっと心配ですが。。
下限は判定時間を短く設定しています。
放電末期は電圧バラツキが大きくなるし、セルへのダメージも心配なので早めに停止します。
BMSの設定について詳しくはこちら。
テスト開始!
まずはバッテリーを満充電していきます。
セルかバッテリーが上限電圧に達して、BMSにカットされるまで充電を続けます。
充電電流は40~41A程度。
これだけの電流でも、バッテリー容量が大きいので結構時間がかかりそう。。
それにしても、LiFePO4は電気の吸い込みがいい!
鉛バッテリーでは40Aの充電電流は考えられませんね。
こちらは1番セルが上限電圧3.55Vに到達したときの様子。
判定を15秒にしているので、すぐには遮断されません。
時間が経つと、アラームが出てBMSが充電を遮断しました。
4番セルだけ電圧が低いですね。電圧差は0.082Vと少しバラつきが大きいです。
この時点だとバッテリー残量は92%(286Ah)ですが・・
少し時間が経つと100%に表示が変わりました。
こちらが100%表示になったとき。
その後しばらく放置して、電圧が落ち着くのを待つと・・
13.40Vで安定しました。このときセルの電圧差は0.004Vで揃っています。
この状態を満充電として放電していきます!
放電スタート!
手頃な消費電力の家電がなかったので、ドライヤーを使いました。
インバーターの配線が細いのでMAXではなく、中(3段階の2)で稼働します。
消費電力はインバーターの変換ロスも含めて600W程度。これだと6時間近くかかる見込み。。
MAXで稼働(約1200W)できれば3時間で終わりますが、配線が燃えても困るので放置して気長に待ちます。
鉛バッテリーから考えたら600Wを放電し続けるのもスゴイことなんですが。
放電が終わったタイミングを逃さないよう、iphoneの画面を常に撮影しておきました。
ずっとスマホを見張っとくのはできないので。笑
で、いきなり終わりの写真なんですが、そのときの様子がこちら。
1番セルが下限に達して遮断されました。セルのバラツキも0.346Vとかなり大きい。
普段使いでは放電し過ぎないようにするのが良さそうです。
あと、仮組みでなのでバスバーをギチギチに締めていないのも原因かも。
肝心のバッテリー容量ですが、放電後の残量30.60Ahなので、
310.00-30.60=279.4Ah。310Ahの容量に対して90.13%使えた結果となりました。
310Ahには届きませんでしたが、約50Aを連続放電したことを考えると満足です。
ただ、今回のテストは充電時のセル上限電圧を3.55Vにしていたので、カタログ値の3.65Vにすればもっと伸びると思います。感覚的にはあと10Ahくらいは出せそう。
逆に、放電時のセル下限電圧はこれ以上下げても、そこまで容量は稼げなさそう。放電末期のバラツキもひどいので、これ以上はやらない方がバッテリーのためです。(今回は放電し過ぎました)
結果としては、300Ah近くはあるかな〜、って感じです。
放電末期の電圧バラツキは大きいので、日常的にはもっと早く放電を停止した方がいいですね。
バッテリーをいたわるなら、実容量の7~8割くらい?が電圧の挙動的には安定してそう。
まとめ
中国から買ったバッテリーで少し心配でしたが、電気容量はカタログ値の9割はしっかり使えました。もっと攻めた設定にすれば、カタログに近い数字が得られそうですが、そこまでしてバッテリーを痛めるのもイヤなのでこの程度に。
今回はドライヤーを600Wで約6時間も連続駆動できました。
リチウム化する最大の目的である「夏場のエアコン」もかなり長時間稼働できそうです!
次回はキャンピングカーへの設置していきます。