LiFePO4とBMSの充放電テストが完了したので、いよいよキャンピングカーに取り付けしていきます!
バッテリーは8セルを4直列2並列で組みますが、テスト段階では並列での確認は出来ていません。(並列配線するのが面倒だったので、セルとBMSの初期不良がないかだけ確認しました)
並列にしてセルがどんな挙動をするのか楽しみです!
リチウム化の記事一覧
目次
鉛とリチウムの設置状態を比較
最初に、鉛バッテリーからリチウムに変更したBefore・Afterをご覧下さい。
バッテリーのスペース的には鉛2台と変わってないことが分かります。
なので、このリチウム(アルミシェルのLiFePO4)はほとんどの車に設置可能だと思います。
今回、1800Wの正弦波インバーターと端子台(2個)を追加したのと、外部充電器を鉛用からLiFePO4用に交換しています。
LiFePO4への載せ替え自体は、BMS+端子台の追加とバッテリー配線を太くしたくらいで、大きくは変わっていません。
LiFePO4の並列接続
今回は並列の接続方法についてです。LiFePO4生セルの並列には2通りの方法があります。
①【4直列2並列】セル4つを直列1バンクとして、2バンクを並列とする(今回はこちら)
②【2並列4直列】セル2つを並列にして、4直列の1バンクとする
※このLiFePO4は1セルが3.2V,310Ahです
もちろん、最終的にはどちらも「12.8V,620Ah」として使える訳ですが、この組み方によっていろいろと違いが出てきます。
両者のメリット・デメリットは、次のように考えています。
4直列2並列のメリット
(1)8セル全ての電圧値をモニタリングできる
・どれか1つのセルに異常が発生してもすぐに特定できる
・全てのセルの挙動を確認して最適なBMSの設定ができる・・はず
(2)2バンクを分割して使うこともできる
・BMSや物理スイッチで切り離せばバンク1のみ、バンク2のみとしても使える
→仮にどちかのバンクに異常・劣化が発生しても、正常なバンクのみを使える
・バッテリーを使わないときにバンク間で循環電流が発生しても、バンクを切り離して循環電流を防ぐことができる
4直列2並列のデメリット
(1)コストと手間が少しかかる
・BMSが2枚必要+バッテリー配線が増えてコストUP(約1万円UP)する
・BMSや配線の手間が増える
(2)機器の正確な消費電流・充電電流が分からない
・2バンクから電流が流れるため、各BMS上の電流値表示は機器の消費電流の約半分になる
→バッテリーの機能上は問題ないため、大した問題ではない?
2並列4直列のメリット・デメリット
メリット・デメリットは4直列2並列の反対になります。
メリットは・・
・BMSが1枚で済むのでコストが安く配線は少なくなる
・BMSの表示と機器の消費電流が一致するので管理しやすい
デメリットは・・
・BMSの表示電圧は2セルを並列した値となり、セル毎の電圧が分からない
・8セルで1バンクになるので、バンクを切り離して使い分けることができない
4直列2並列を選んだ理由
今回は①4直列2並列を選んだわけですが、その理由は以下の通りです。
- 中国製リチウムの品質が分からない
- 並列で全てのセルがどんな挙動をするのか知りたい
- 循環電流が発生した場合、強制的に2バンクを切り離したい
中国製のLiFePO4生セルを初めて扱うので、各セルがどんな挙動をするのか観察したい思いがありました。
また、リチウムを並列化する一番の懸念である「循環電流によるバッテリーの劣化」への対策として、強制的にバンクを切り離せる4直列2並列がいいなと考えました。
逆に、セルの品質や電圧のバラツキ、循環電流に心配がないなら、2並列4直列の方がBMS1枚で済むし、配線もシンプルで扱いやすいと思います。
リチウムの並列化がもっと普及して、安心して使えるようになったら、2並列4直列を選びますね。
使った材料
部品は案外少ないですね。金額としては全部で15万円くらいでした。
これで8kWhも電気が使えるようになるなら、お買い得ですね。
- LiFePO4の生セル310Ah×8個:120,000円(1045USD)
- スマートBMS(150A)×2個:16,500円(144USD)
- KIV配線(22SQと14SQ)×2m:7000円くらい
- 各種圧着端子(R14-8、R22-8、R38-6、R38-10)
- 端子台(300A)×2個
- 真鍮ボルトナット(M8×20mm)×8個、(M6×15mm)×1個
【LiFePO4】
アリエクスプレスから購入。今回は8セル購入しましたが、4セルでも販売されています。
容量は1セルが3.2V,310AHなので、4セル直列にして12.8V,310Ahです。
アリババやアリエクスプレスで購入する際は、販売実績やフォロワーが多いバイヤーを選びました。もっと安いバッテリーもたくさんありますが、安過ぎるのは怪しいです。
【スマートBMS】
スマートBMSは、スマホのアプリとBluetooth接続して、各種設定やバッテリー状態の監視ができます。これは150Aまでの電流に対応したモデルです。
【KIV配線】
大電流が流れるバッテリーの配線には、14SQ+22SQの2線を繋ぎました。
38SQでもいいのですが、ちょうど手元に14SQと22SQが余っていたので使いました。38SQはこちらです。
14SQはソーラーや走行充電にも使えるので何かと便利です。
【各種圧着端子(R14-8、R22-8、R38-6、R38-10)】
アルミシェルのLiFePO4の端子サイズに合わせたM6の圧着端子です。
バッテリーの配線には14SQ+22SQの2線を1つの端子で圧着しています。
これ以外に、端子台に繋ぐR38-10、BMSの基盤に使うR14-8とR22-8も使いました。
(38SQを1本で配線するならR38-6、R38-8、R38-10の3種類で足りますね)
【端子台(300A)】
M10ボルトの端子台、許容電流は300Aです。
本当は今の圧着端子が使えるM8の端子台が良かったんですが、許容電流が150Aしかありませんでした。
150Aではちょっと心配だったので、余裕のある300Aの端子台を使っています。
BMS基盤にM8の穴が空いてるので、M8ボルトナットで配線を固定しました。
1つのBMS基盤に最低2個は必要です。今回は1つの基盤に4個、全部で8個使いました。
バッテリープラス端子からの電源取り出しに使いました。
付属のバスバーが1枚余ります(4枚付属に対して3枚しか使わないので)。
端子台に繋がない細い線は、このM6ボルトナットでプラス電源を取り出しています。
バッテリーの設置
鉛バッテリー2台を置いていた場所に入れ替えします。
310Ah4セルと鉛バッテリー1個がだいたい同じサイズなので、スペースの心配はありません。
まずは鉛バッテリーを取り外します。
古いバッテリーはヤフオクで売りました。まだ2年そこらでへたってもないので、必要な方に再利用してもらいます。
バッテリー設置場所に厚さ1cmの板を敷いて底上げします。この板は以前、電子レンジ置きに使っていた余り物です。
ノコギリでカットして幅40cm、奥行き45cmにしました。
底上げする理由は、近くに水ホースが通っているからです。
万が一、水漏れした場合に底上げしてあれば濡れずに済む、と考えました。
まあバッテリーが大丈夫でも、それ以外の配線がウジャウジャあるので気休めですが・・
この辺りはホースの分岐もないので、まず漏れることはないと思います。
試しにバッテリーを並べてみると・・
だいぶ余裕がありますね。あとは移動中にセルが動かないように木枠で固定していきます。
木枠の板は新たに購入。ショートしやすいセルの端子部やバスバーを隠せるよう、バッテリーより少し高い25cmを選定。
高さはちょうどいいので、幅だけ切って合わせていきます。電動工具がないので、こちらもノコギリでギコギコと・・
多少曲がったりサイズがズレますが、バッテリーを固定する役割を果たせばOK・・だと思ってます。
切った板で仮合わせしてみると、、思ってたよりいい感じです。
これをL字金具で底面、側面を固定したらボックスは完成。
セルが動かないか確認してみると、少しカタカタ動くセルがいます。
納品時から若干膨れているセルがあったので、多少すき間ができたのでしょう・・
対策として、すき間にダンボールを切って入れ込みました。それでも1つだけ若干ガタつくセルがあります。。
まあ少しガタつくだけなので、組み上げで上面からも木材で固定したら大丈夫だと思われます。
各バンクのプラス線とマイナス線はここから取り出します。
配線が取り出しやすいように、2バンクともバッテリー端子が中央に来るようにセルを配置しました。
あとはバッテリーからプラス配線を取り出しやすいよう、一部だけ木枠を削って高さを抑えます。
ここは木枠を組む前にやるべきでしたね。勢い余って先に固定してしまい、削るのが大変でした。
ドリルとノコギリでなんとか削れましたが、ちょっとデコボコしてます。笑
BMSを固定する
BMSの設置場所はかなり悩みました。
このBMSは150Aまでの電流に対応している分、結構デカイんです。(長さ315×幅114×1高さ0mm)
結局、バッテリーの固定に作った木枠の側面にネジで固定しました。
こちらの側面は木枠が長いため問題なく設置できました。
こちらは本当にギリギリで悩みました。
木枠の厚みもあって、何とかBMSを固定できる幅があったのが幸いでした。
BMSの基盤には固定用の小さい穴(3箇所)が空いています。
今回はこの穴を使ってネジで木枠に固定しました。
作業前にバッテリーだけでなく、BMSの設置場所もイメージしておくことをオススメします。
<BMSは案外デカイし、ショートさせないように設置する必要があるので、後から考えるとボクみたいに困るかもです。
バッテリーの配線方法
BMSの配線方法についてはこちらに書いています。
今回はバッテリーの配線方法について解説します。
まずは完成写真の配線図をお見せします。
特に難しい作業はないです。あくまでバッテリーの載せ替えなので、配線を圧着できれば取り付けできると思います。
ど素人のボクでも、事前に取り付け方法を調べれば普通にできましたので。作業では太い配線の被覆を剥ぐのが一番大変でした。
圧着加工は何回か練習すれば誰にでもできます。ちょっとした改良や不具合のためにも身に付けておいて損はないですね。
圧着ペンチはこれ(5.5~38SQまで対応)を使ってます。安いですがしっかり圧着できて性能は十分です。
ワイヤーストリッパーを持ってないので、配線の被覆を剥ぐのが一番大変でした。
※バスバーやBMS基盤などの金属部がむき出しになっているので、工具を接触してショートさせないように注意。ショートすると火花が出ます。
各配線のサイズ
今回使った主な配線はこちらの通りです。
バッテリーからは150Aまで流れても大丈夫なように、22SQ+14SQ(許容電流115Aと88A)にしました。
2本使う場合の許容電流は2本の合計ではなく、「2本の合計×0.8」で見ておくそうです。なので、(115A+88A)×0.8=162Aとなります。
今回は2並列なので、各バンクからは機器の消費電流の約半分しか流れません。消費電力の大きいインバーター2機を合わせても最大2100W(電流値に換算して164A)なので、1バンクからは82A相当がMAXで流れる計算になります。
4直列2並列だと、1バンクから流れる電流を抑えられるのはメリットですね。電流を小さくすれば放電時のセルの電圧バラツキも抑えることができます。
LiFePO4の設置完成!
バッテリーのプラス端子には、余ったバスバーと真鍮ボルトナット(M6×15mm)でφ6端子の電源取り出しに使いました。
配線の組み付け後、セルの上面にも木材を固定してセルが完全に動かないようにします。(セルが動くと配線やバスバーが緩む原因となり危険です)
ここでもL字金具を使いました。これで移動中の振動も大丈夫でしょう!
1つだけガタついていたセルもこれできっちり固定されました、よかったです!
最後に、インバーターや電気設備が使えることを確認して無事終了!
平日の夜に作業をしていたのと、鉛バッテリーを外して電気がなかったので1週間近くかかりました。笑
まとめ
LiFePO4の生セル設置は敷居が高いと思っていましたが、案外難しい作業はありませんでした。電気関係が素人の自分でも普通にDIYで設置できました。
金額としては、12.8V,620Ah(7936Wh)の大容量でも約15万円となりました。
国内メーカー(といってもリチウム本体は中国製かも)から同容量を買うとなると、100万円近いのでだいぶ安く済みました。
キャンピングカーへの取り付けができたので、いよいよ次は並列での充放電テストです!
これから旅先で使っていく仕様なので、しっかり確認したいと思います!