リン酸鉄リチウムバッテリー(LiFePO4)の生セル+スマートBMSを設置して、家と同じように電気が使えるようになりました。
容量は620Ah(7936Wh)で、かかった費用はだいたい15万円。(走行充電器、インバーターを除く)
この容量でこの金額は驚異的です。家庭用の蓄電池とか同じ容量で100万はします。
ポータブル電源で人気のEFDELTAは1260Whで金額は同じくらい。それでいて容量が6倍以上なのでやっぱりコスパがいいと思います。
ただ、何かあっても自己責任だし、配線の手間が多少あるので万人受けはしないですかね。
さて、今回はそんなLiFePO4を安全に使う上で重要な、スマートBMSの設定について紹介します。
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目次
スマートBMSについて
長くは書きませんが、BMSは各セルやバッテリーの充放電温度・セル電圧・バッテリー電圧・充放電電流などをモニタリングして制御する装置です。(BMSはBattery Management Systemの略)
この装置のおかげで安全にLiFePO4を充電・放電することができます。
BMSはこんな感じの薄っぺらい基盤です。アリエクスプレスで送料込み8000円くらいで買えます。
スマートBMSだとBluethoothなどでスマホやPCと接続して、セルを監視・設定変更することができます。
今回使ったスマートBMSはXiaoxiangBMSというアプリが対応しています。iPhone版だと有料で860円かかります。(スマホ1台につき860円なのでBMSは複数でも大丈夫です。)
このアプリを使って、自分で任意の設定を行ってバッテリーを制御します。
面倒臭いと言われればその通りですが、自分好みに設定できるというメリットでもあります。
このBMSで設定できるのは以下のスクショ3枚の項目です。
今回買ったLiFePO4バッテリー
今回買ったバッテリーはこちら。アルミシェルです。
バイヤーのカタログスペックは以下の通りです。
バッテリーのスペック
- 容量:310Ah
- 定格電圧:3.2V
- セル上限電圧:3.65V
- セル下限電圧:2.5V
- 充電温度:-5℃〜60℃
- 放電温度:-30℃〜60℃
セル電圧は一般的なLiFePO4バッテリーと同じですが、充放電の温度域が広い?ようです。
あくまでカタログ値なので、負荷をかけないようにするのが望ましいでしょう。
国内で販売しているメーカーでは、充電・放電温度の下限はそれぞれ0℃以上、-20℃以上としている場合が多いです。
BMSの設定値
それではBMSの具体的な数値について紹介していきます。
こちらは充放電テスト時の設定値です。
テスト時の電圧設定
- セルの上限電圧3.55V(Delay 15秒)
- バッテリー上限電圧14.2V(Delay 30秒)
- セルの下限電圧2.8V(Delay 5秒)
- バッテリー上限電圧11.20V(Delay 5秒)
セルの上限電圧と下限電圧を、無理のない範囲でカタログスペックに近づけています。
この条件でバッテリー容量(310Ah)の90%に当たる280Ahを放電できました。
こちらが通常使用時の設定値です。
通常時の電圧設定
- セルの上限電圧3.50V(Delay 15秒)
- バッテリー上限電圧14.1V(Delay 30秒)
- セルの下限電圧3.14V(Delay 5秒)
- バッテリー下限電圧11.20V(Delay 5秒)
- 充電温度:0℃〜50℃
- 放電温度:-20℃〜50℃
上限と下限電圧を変更しています。放電側はテスト時よりかなり安全に設定しています。(放電側は安全にしすぎてるので、もう少し下げるかもしれません)
充電時の電圧バラツキはあまり見られないので、上限電圧は高めにしてあります。
逆に、放電終盤のバラツキは大きかったので、下限側は早めに放電をカットしています。テスト時は放電を2.8Vまでしましたが、この辺りではセルの電圧バラツキも結構大きかったです。
この設定で恐らく、容量(310Ah)の70~75%くらい使えるかなと考えています。
だいぶ余裕をもった設定なので、電気が不足したときは一時的に設定を変えるつもりです。(夏のエアコン長時間運転くらいでしょうが)
充電温度、放電温度もカタログ値より安全側に設定しています。使用時に50℃を超えるようであれば変更しようと思います。
参考に、RENOGYのLiFePO4(BMS内蔵)は充電(0〜55℃)・放電(-20〜60℃)です。
補足
LiFePO4は満充電で長期保管するとバッテリーを痛めるようなので、上記の設定は長期保管には向きません。鉛バッテリーは満充電での保管が好ましいので異なる部分ですね。
なので、長期で保管する際は残量60%くらいまで放電しておいたり、保管用の設定(ソーラーや走行充電で充電されないように)を作ろうと思っています。
BMSの設定はアプリ内にいくつも保存できるので、用途に応じて使い分けることもできます。
スマホのスクリーン録画機能が便利
充放電テストする際は、スマホの画面録画機能を使うのが便利です。
ずっと画面を監視するのは大変だし、大切な瞬間を見逃す可能性が高いので。
テスト時はiPhoneの録画をONにしたまま放置して後で確認すればOKです。
駐車場が近ければ家の中にいてもBluetoothで繋がります。
放電テストでセルのバラツキが大きくなる電圧を動画から確認できたので、通常時のセル放電電圧を3.14Vに決めることができました。録画しておくと後から役に立つことも多いです。
まとめ
今回はスマートBMSの設定について紹介しました。
まだまだ検討段階なので安全な設定にして使っています。これでもかなりの電気を使えるので特に不自由はありません。
スマートBMSは自分で設定を変更できるのがメリットと感じる方もいれば、「自分で設定しなければいけない」というのを面倒に感じる方もいるでしょう。
自分で考えたりテストするのが面倒であれば、今回紹介した設定値を入力すれば十分使えると思います。(もちろんLiFePO4に限る)
ただし、プラシェルとアルミシェルで満充電のセルばらつきが異なる(セル上限電圧を変える)など、少し特性が違う部分もあるため注意が必要です。今回紹介したのはアルミシェルでの設定になります。